細心な注意必要な小規模宅地特例、事業継続・生計一要件が厳格化
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、相続人等による事業または居住の継続への配慮という制度の趣旨を踏まえ、2010年度税制改正において事業用宅地等で事業を継続しない場合及び不動産貸付宅地で事業を継続しない場合、居住用宅地で居住を継続しない場合には、これまでの「200平方メートルまで50%減額」が受けられなくなった。事業継続要件、生計一要件がより厳しくなったのである。
例えば、被相続人Aは、コンビニの経営を始めるため、自己が所有している土地に店舗兼事務所を建築中に急逝した。コンビニは、同居の長男が引き継ぐこととなり、相続税の申告期限までに店舗兼事務所の建物が完成してオープンした。この場合、小規模宅地の特例が適用できるのかどうかというと、答えは「ノー」である。
そもそも、小規模宅地の特例は、相続開始直前において事業の用に供していることが適用の大前提で、このケースは相続開始の直前に事業の用に供していないので、特例は受けられない。
ただし、事業の用に供していない場合でも、建築中にまたはその建物等の取得後被相続人等が事業の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合で、その相続開始直前においてその被相続人等の建物等に係る事業の準備行為の状況からみて、速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるときは、その建物等の敷地の用に供されていた宅地等は、事業用宅地等に該当するものとして取り扱われ、特例の適用が可能になる。
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