地震被災5県の確定申告期限等は自動延長・他県でも延長可能
東北地方太平洋沖地震は3月11日でした。3月15日の所得税確定申告直前に発生しました。
税務署も被災しており、止まってしまった申告手続きも多いと思われます。申告期限や納税期限の延長が定まりました。
青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の期限延長
国税通則法第11条には「…災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、…当該期限を延長することができる。」とあります。
この法律について、3月15日付国税庁告示により、青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県の納税者に対して適用されることになりました。
この地域に納税地を有する納税者については、地震が発生した平成23年3月11日以降に到来する申告等の期限が、全ての税目について、申請等をしなくても、自動的に延長されることとなります。
つまり3月15日の確定申告の期限は自動的に延長されています。延長後の期限は今後別途定められることになります。
対象となるのは申告期限が平成23年3月11日以降に到来する国税です。3月15日の所得税確定申告・贈与税申告・3月末期限の個人消費税、1月末決算法人の法人税消費税、また平成22年5月11日以降相続開始分の相続税などが対象になります。
またすでに確定申告書を提出した人も含め、所得税の振替納付日(銀行口座引き去り日)は4月22日から延長されます。
なお延長後の納付日は別途定められることになります。
上記5県以外の期限延長
青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県以外の地域に納税地を有する納税者についても申告・納付等の期限延長が定められています。
上記5県では自動的に期限が延期されますが、それ以外では申請書により期限延長が可能となります。対象は次の場合です。
(1)地震により納税者が家屋等に損害を受ける等の直接的な被災を受けたことにより申告等を行うことが困難
(2)行方不明者の捜索活動、傷病者の救助活動などの緊急性を有する活動への対応が必要なことから申告等を行うことが困難
(3)交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断により納税者又は関与税理士が申告等を行うことが困難
(4)地震の影響による、納税者から預かった帳簿書類の滅失又は申告書作成に必要なデータの破損等の理由で、税理士が関与先納税者の申告等を行うことが困難
(5)税務署における業務制限(計画停電を含む)により相談等を受けられないことから申告等を行うことが困難
被災した場合だけでなく救助活動による場合、納税者本人だけでなく関与税理士(会計事務所)が対応できなくなった場合、また原因が計画停電による場合を含むことになっています。
状況が落ち着いた後でいいので「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することにより、申告・納税等の期限延長が認められます。
税務署の対応
税務署も被災しています。
通常の執務体制が確保できない税務署では還付金処理が迅速に行えない場合があります。
また3月18日夜現在で、大船渡税務署(岩手県)と気仙沼税務署(宮城県)では業務を休止しています。青森県、岩手県、宮城県、福島県の各税務署のうち、上記以外の税務署と日立税務署(茨城県)では、原則として申告書の収受等窓口事務しか行えません。つまり申告書受領業務しかしていないかもしれません。
災害復旧に必要な資金の借入れのために納税証明書の発行を受ける場合には、納税証明書の発行手数料は免除になります。
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