BOPビジネス成功へのカギ 低所得者層の市場創出を急げ
今、途上国の低所得層(BOP)をターゲットにしたBOPビジネスが注目を集めている。新興国がいち早く回復した大きな要素はBOPビジネスにあるからだ。しかし、日本企業はハイエンド(先進国)市場に慣れ親しんできた成功体験から脱皮できないジレンマを抱えている。
途上国のミドル市場(中開発国)開拓でさえ試行錯誤の段階で、BOPビジネスの持続可能性に大きな不安を持っている。富士通総研は「日本企業はBOP市場を独立市場とは見ず、3市場を統合させたグローバル市場戦略を展開している」と忠告する。
10年先を見込んだユニクロは2010年、バングラデシュのグラミン銀行とソーシャルビジネスで合意した。これに対し住友化学は、すでにマラリア防止事業などでCSR(企業の社会的責任の一環として進出している。
大部分の製造業がBOPビジネスに出る契機の1つは、国際CSR活動だ。味の素はアジア途上国で3層を一気貫通した統合戦略に改め、階段式に消費者を誘導していく「台車戦略」で成功している。富士通総研は、成功の要因は「収益性よりも後発地域の社会問題解決や生活向上という公益性にある」という。
現地住民の購買力増強と企業の収益向上の市場創出は誰もが望むところ。今、日本企業は成功体験を述懐する老国の時代から、国際的な市場創出への“陣痛期”にあるといえる。
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