ちば会計

2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  
無料ブログはココログ

2025年2月 4日 (火)

外国人旅行者向け消費税免税制度 出国時に返金する「リファンド方式」へ

 外国人旅行者が、いわゆる免税店で土産品等を購入した場合に、その消費税が免除される「外国人旅行者向け消費税免税制度」。

この制度は、土産品等を国外へ持ち帰ることは、実質的に輸出と同じであることから設けられている制度だ。

 近年、訪日外国人の増加に伴い、この免税制度を不正利用するケースが相次いでいる。

金地金や高額なブランドバックなどを免税で購入し、それを国内で「税込価格」で販売すると、消費税相当分がそのまま利益になってしまうためだ。

このように免税店で購入した商品を国外に持ち出さない場合、通常は税関で消費税が徴収されることがルールとされている。

ところが、会計検査院は令和5年度決算報告の中で、令和4年度に合計9名、総額34億円の消費税が税関で徴収されていなかっ

たことを指摘しており、不正利用を防止するための制度改正が急がれていた。

そこで今回の改正では、商品販売時に消費税を免税とするのではなく、出国時に持ち出しが確認された場合にのみ消費税を返金する「リファンド方式」へと見直されることとされた。

本改正に伴って、免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時にパスポートを提示して税関長の確認を受けることとされ、確認を受けた免税対象物品は必ず国外に持ち出すことなどが義務付けられる。

不正防止に大きく貢献することが期待される一方、旺盛なインバウンド需要に水を差す形にならないか懸念される。

2025年1月31日 (金)

内閣府が令和7年度の経済見通しを公表 実質成長率は1.2%程度の見込み

 内閣府はこのほど「令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を公表した。

これによると、令和7年度は「物価上昇が落ち着く中、個人消費等の内需が増加し、実質成長率は1.2%程度、名目成長率は2.7%程度」となる見込み。

 現在、わが国の物価は緩やかな上昇基調にある一方、賃金の上昇が物価上昇に追いついておらず、実質賃金は前年比マイナスを続けている。

物価上昇が国民の家計を圧迫している状況だが、消費者物価(総合)について本レポートでは「原材料価格など輸入コスト上昇の影響は一巡するものの、賃金上昇に伴う国内物価の緩やかな上昇が見込まれる」ことから、上昇率は2.0%程度となると予測している。

また、GDPの3%程度を占める民間住宅投資については「総合経済対策の政策効果が下支えとなるものの、資材価格が高い水準で推移する中、実質値は減少する」としており、対前年度比0.3%程度の減少を予測。

住宅投資は、建設・不動産業・鉄鋼・非鉄金属など多数の産業に関わり、経済全体に波及する生産誘発効果が大きいだけに、景気回復への懸念材料となる。

総じてわが国の経済は「回復する」との見方を示す一方で、懸念されるのが、長らく続く人材難だ。

労働力人口がおおむね横ばいとなる中、経済の緩やかな成長に伴い労働需給は引き締まり、完全失業率が低下することを予想している。人材難が解消に向かう見込みはなく、いっそう厳しくなる見通しのようだ。

2025年1月27日 (月)

法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に

 令和7年度税制改正では、「中小企業に対する法人税の軽減税率」が大きく見直されることになった。

 現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(中小企業に対する法人税の軽減税率=租税特別措置)。

今回の改正では、この租税特別措置部分の対象から「所得金額が年10億円を超える事業年度」が除外される。

つまり、所得金額が年10億円を超える事業年度については、今後、年800万円以下の所得⾦額について、15%ではなく17%の税率で法人税が課されることになる。

 わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率が23.2%まで引き下げられた。

しかし政府は「法人税率が設備投資や賃金に与える影響は限定的」「わが国の法人税改革が国内投資の増加に効果的でなかった」と明言するなど、法人税改革が失敗に終わったことを認めており、法人税については本格的な“上げトレンド”に入っている。

実際、今回の税制改正大綱にも「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく」と記載されているため、今後の動向には注視が必要だ。

2025年1月24日 (金)

厚労省、外国人雇用実態調査結果を公表 平均給与は月額26万7,700円

 厚生労働省はこのほど、「令和5年外国人雇用実態調査」の結果を取りまとめて公表した。

 この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況、入職経路、前職に関する事項等について明らかにすることを目的として、2024年に初めて実施されたもの。

 これによると、雇用保険の被保険者数が5人以上の事業所に勤務する外国人労働者の数は約160万人で、「月間きまって支給する現金給与額」は26万7,700円。

実労働時間は、所定内実労働時間155.8時間、超過実労働時間19.8時間だった。

 外国人労働者を雇用する理由は「労働力不足の解消・緩和のため」が64.8%と最も高く、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して(56.8%)」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため(18.5%)」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して(16.5%)」と続く。

 また、外国人労働者の雇用に関する課題は、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」44.8%で最多、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑(25.4%)」、「在留資格によっては在留期間の上限がある(22.2%)」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある(19.6%)」などが上位を占めた。

外国人労働者の国籍・地域をみると、ベトナムが29.8%と最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)が15.9%、フィリピンが10.0%となっている。

2025年1月22日 (水)

令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」

 自民・公明両党は12月20日、令和7年度の税制改正大綱を取りまとめ、同日午後に閣議決定された。

 今回の目玉は、直前まで“大揉め”となった「103万円の壁」の解消について。

所得税の基礎控除額が10万円引き上げられるほか、給与所得控除の最低保障額が、現行の55万円から65万円まで引き上げられる。

また、新たな控除の仕組みとして「特定親族特別控除(仮称)」が導入される。

これは、19歳から22歳までの大学生年代の子の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられ、合計所得金額が85万円を超えた場合でも、親が受けられる控除の額が段階的に逓減するというもの。

特に飲食業、小売業、サービス業などでは、パートやアルバイトの人手不足が深刻化していることから、大学生アルバイトによる収入調整を抑制することが狙いだ。

 基礎控除が全ての納税者に対して恩恵がある一方、給与所得控除の「10万円引き上げ」は、給与収入が1,625,000円未満の人にしか適用されない。

つまり、一般的なサラリーマンには適用されず、実質的には基礎控除が10万円増えただけ。

「物価高騰に苦しむ国民の手取りを増やす」と盛り上がったものの、政府・与党の抵抗もあり、減税という意味では少し物足りない改正となった。

ただし、自民党、公明党、国民民主党による三党協議が引き続き行われる予定であり、最終的にどのような制度になるか注視しておく必要がある。

 

2025年1月17日 (金)

日本の時間当たり労働生産性 OECD加盟38ヵ国中29位

  OECDデータに基づく2023年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は56.8ドル(5,379円/購買力平価(PPP)換算)となったことが、日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」で分かった。

  日本の労働生産性は、米国(96.7ドル)の55%程度の水準に相当し、主要先進7ヵ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。

これは、ポーランド(57.5ドル)やエストニア(56.5ドル)とほぼ同水準で、OECD加盟38カ国中29位。2022年には31位まで落ち込んでいたものの、今回は2ランクアップとなった。

 また、就業者一人当たりでみた2023年の日本の労働生産性は9万2,663ドル(877万円/購買力平価(PPP)換算)で、ハンガリー(9万2,992ドル/880万円)やスロバキア(9万2,834ドル/879万円)といった東欧諸国とほぼ同じ水準。

残念ながら西欧諸国で同水準の国はなく、最も近接するポルトガル(10万3,813ドル/983万円)でも日本より10%以上生産性が高い。

順位は、1970年以降で最も低いOECD加盟38カ国中32位だった。

コロナ禍前水準と比較した日本の労働生産性は103.3%で、米国(同107.6%)にこそ先行されているものの、英国(同102.2%)やドイツ(同101.3%)、フランス(同97.6%)を上回っている。

2025年1月14日 (火)

暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?

 暗号資産の譲渡による所得は、現行制度では原則として雑所得に該当し、他の金融商品が20%の申告分離課税の対象となる一方、暗号資産取引は申告分離課税の対象から除外されている。

こうした課税方法について、暗号資産交換業者等の業界団体である日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)や日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)では、以前より「20%の申告分離課税の対象とすること」「損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができること」などを要望してきた(暗号資産デリバティブ取引も含む)。

 こうした業界団体による活発な動きを受けて、令和6年度税制改正では、発行者以外の第三者が継続保有する暗号資産について、一定の要件の下、期末時価評価課税の対象外とする見直しが行われたばかり。

 こうした流れもあり、いよいよ本丸である「申告分離課税の対象入りが実現するか」と話題になっていたが、石破総理は12月3日に行われた代表質問の中で「投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように暗号資産への投資を国が推奨することが妥当なのか、申告分離課税を適用することに国民の理解が得られるのか、などの課題があり、丁寧な検討が必要である」と答弁し、慎重な姿勢を示している。

令和7年度税制改正で申告分離課税の対象となる道はほぼ途絶えたと言える状況だが、引き続き動向を見守りたい。

2025年1月10日 (金)

中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画

 日本商工会議所が行った「地域経済を牽引する中堅・中小企業における投資動向調査」の結果によると、過去5年間で、およそ6割(56.7%)の中堅・中小企業が拠点新設等の投資を実施していることが分かった。

 また、今後5年間で拠点の新設や拡張・移転を計画している企業の割合は約5割(計画している:23.5%、検討中:23.6%

)にのぼり、中堅・中小企業は高い投資意欲を有していることが推察される。

 投資額について見ていくと、投資額が10億円を超える企業の割合は、過去5年間が24.6%だったのに対し、今後5年間では30.3%と増加する見通し。

従業員数300人超の企業に限ると、今後5年間で10億円超の投資を行う企業が5割を超えており、会社の規模が大きくなるほど大型投資の割合が増加する傾向が顕著に表れている。

 拠点投資を行った背景については、「需要増への対応」が56.6%、「既存拠点の老朽化への対応」が36.2%、「新たな産業分野等への進出・事業拡大」が35.1%だった。

このうち、「新たな産業分野等への進出・事業拡大」の具体的な投資分野を見てみると、「自動車・船舶関連(自動運転、EVPHV)」が19.9%、「AIチップ・半導体関連」が19.1%、「医療・ヘルスケア・バイオ」が18.4%、「ロボット関連」が16.2%と、成長分野への投資が活発であることがわかる。

また、インバウンドを含む観光需要の拡大に伴い、観光関連(12.5%)の投資も活発であるようだ。

2025年1月 6日 (月)

会計検査院が「特定検査」で指摘 類似業種比準方式は「低すぎる」

 会計検査院は11月6日、令和5年度決算検査報告の「特定検査対象に関する検査状況」の中で、「相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について」とする検査結果を公表。

「類似業種比準方式による評価額が、純資産価額方式による評価額に比べて相当程度低く算定される傾向」にあることを指摘している。

 類似業種比準価額は、昭和41年から平成29年にかけて計算式、対象とする評価会社の範囲の拡大、選択できる類似業種の範囲の拡大など、数度にわたって評価額を引き下げる改正が行われてきた経緯がある。

その結果、中小企業では自社株を類似業種比準方式で評価できるよう組織再編を実行したり、資産を組み替えたりするなどの節税手法が一般的に行われるようになった。

実際、いま主流となっている株価対策は、類似業種比準方式を使ったものがほとんどである。

 今回の会計検査院の指摘に対し、会計事務所業界ではすでに話題騒然となっている。

「いつ改正されるのか」といった声も聞こえてくるが、国税庁が本当に改正に取り組むのか、どのような通達改正を行うのか全く未知数の状況だ。

仮に類似業種比準方式による評価額が大きく引き上げられるようであれば、“駆け込み”の対策が実行されることは必至。

また、世にある株価対策の多くが意味を為さなくなる可能性もあり、適用期限が近づいている特例事業承継税制の存在価値が増すことにもなるだろう。

2024年12月27日 (金)

新規開業、女性の割合が過去最高 開業費用の平均値は985万円

 経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が37.4%と最も高く、次いで「30歳代」が28.6%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2024年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1990社)で分かった。

全体の平均は43.6歳で、前回調査と比べて0.1歳“若返った”。

調査は、同公庫が2023年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。

 開業者に占める女性の割合は、前年から0.7ポイント増の25.5%となり、1991年度の調査開始以来最も高くなった。

開業業種については、「サービス業」が29.2%で最も多く、次いで「医療、福祉」(15.7%)、「飲食店、宿泊業」(14.5%)

などが続いた。

なお、前回調査では3番目に多かった「小売業」が大幅に数値を落としている(11.9%→10.8%)。

 開業時の平均従業者数は2.9人で、前回調査同様、3人を下回っている。

調査時点(8月)の平均従業者数は3.8人で、開業時からの増加数は1.0人だった。

開業費用の分布をみると、「250万円未満」(20.1%)と「250万~500万円未満」(21.0%)で4割以上を占めている。

また、「500万~1000万円未満」の割合は30.7%で、前回調査時より上昇した。

開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円となっており、長期的にみると少額化の傾向にあるようだ。

«中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味