税理士法人千葉会計

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2025年6月25日 (水)

2025年夏季賞与の平均支給額「増加する」企業が全体の33.7%

 帝国データバンクはこのほど、2025年夏季賞与の動向アンケートの調査結果を公表した。

それによると、2025年夏季賞与の従業員1人当たり平均支給額が「増加する」と回答した企業は33.7%だった。

企業規模別では「大企業」が38.4%で最も高く、「中小企業」は33.0%、「小規模企業」では27.0%と格差がみられた。

平均支給額は前年比1.8万円増の45.7万円となった。

 調査は全国1,227社を対象にインターネット調査で実施。

回答企業のうち「賞与あり、増加する」は33.7%(前年比5.8ポイント減)、「変わらない」は37.0%(同2.8ポイント増)、「減少する」は12.0%(同0.7ポイント増)で、全体の82.7%が「賞与あり」と回答した。

一方「賞与なし」は13.0%だった。

増額理由には、「売り上げ・利益が順調であることによる還元と物価上昇対策」(不動産)、「業績は悪化したが人材確保とモチベーション維持のため」(機械・器具卸売)、「ベースアップに伴い賞与も増加」(建材・家具など)が挙げられた。

人材不足や賃上げの流れを背景に、業績にかかわらず支給額を増やす動きもみられる。

 一方で「賞与変わらず」「減少する」企業からは、「業績低迷のため現状維持」(紙類・文具・書籍卸売)、「コスト高騰で余裕がない」(繊維・繊維製品・服飾品製造)などの声が寄せられた。

さらに「トランプ関税などで先行きが不透明なため慎重に支給」(情報サービス)と、外部要因への警戒感も影響している。

 



2025年6月18日 (水)

骨太方針2025 中小企業支援に総力戦 賃上げと生産性向上を後押し

 政府は2025年6月6日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)の原案を公開した。

今回の方針は、「賃上げを起点とした成長型経済の実現」を掲げ、日本経済がデフレに逆戻りせず成長軌道に乗ることを目指すものだ。中でも注目されるのは、中小企業支援策の強化。

足元の中小企業の経営環境は、原材料費や人件費の上昇、円安によるコスト増、価格転嫁の難しさなどで依然として苦しい状況が続く。

こうした実態を踏まえ、今回の骨太方針では「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」を柱に、中小企業の賃上げを支える経営支援策が打ち出された。

 まず価格転嫁の徹底として、官公需での低入札価格調査制度や最低制限価格制度の導入拡大が進められる。

中小受託取引適正化法の施行や、労務費の適切な価格転嫁ガイドラインの普及も予定されており、取引の適正化に向けた法整備と現場への浸透が進められる。

さらに、生産性向上に向けては省力化投資促進プランの下、デジタルツール導入や伴走型支援を通じ、今後5年間で官民あわせて60兆円規模の生産性向上投資を目指す。

事業承継・M&Aの推進も重視されており、後継者難が深刻な地域企業への支援体制強化とともに、事業承継税制のあり方見直しも検討される。

 政府は最低賃金の引き上げ(全国平均1,500円)に向けて政策総動員で臨む構えだが、それには価格転嫁と生産性向上の両輪が不可欠とし、本方針はその土台づくりを狙った内容となっている。

2025年6月10日 (火)

防衛特別法人税が新設 基準法人税額ゼロでも申告必要

 国税庁が公表した令和6年分の確定申告状況によると、所得税等の申告人員は2,339万人で、前年から0.6%増加した。

このうち、納税額がある人は517万人で22.6%減少したが、申告所得金額は3.2%増の約51兆1,600億円、納税額も8.6%増の約4兆3,990億円と、金額面では大きな伸びを示した。

特に株式等の譲渡所得は、申告人員が2.3%増の118万人、有所得者の所得金額は42.7%増の8兆854億円と、活況な株式市場を反映した形となった。

土地の譲渡所得も申告人員が58万人と4.3%増加し、こちらも6.8%の所得金額増を記録している。

一方、個人事業者の消費税申告件数は、インボイス制度の導入2年目ということもあり212万件と前年比7.5%増。申告納税額は16.8%増の8,004億円に達した。

贈与税の申告人員は7.0%減の47万人で、申告納税者は11.4%減の33万人。

納税額は10.9%増の3,935億円と増加している。特に相続時精算課税の利用者が59.2%増の8万人となり、課税方法の選択が多様化している様子がうかがえる。

 デジタル申告の普及も顕著で、e-Taxの利用者は1,732万人と7.9%増加し、全体の74.0%を占めた。

特に、自宅からのe-Tax利用は35.2%にあたる824万人にのぼり、そのうち約半数の408万人がスマートフォンを活用して申告を行っている。

また、マイナポータル連携を活用した「書かない確定申告」の利用者は前年比62.4%増の310万人と急増し、申告作業の簡便化が進んでいる。

2025年6月 6日 (金)

スキルベース社会の実現へ 経産省が報告書を公表

 経済産業省はこのほど、Society 5.0時代を見据えたデジタル人材育成に関する報告書を公表した。

この報告書は、AIやデータ活用が前提となる社会において、個人が持つスキルを軸に学び、評価され、働くという「スキルベース社会」の実現に向け、現在の課題や求められる制度・仕組みを整理、今後の方針を示したもの。

特に、技術革新のスピードが加速する中、日本では企業の人材投資が極めて少なく、個人の学習意欲も高まらないという構造的な課題が浮き彫りになっている。

 報告書では、まず、日本企業の人材育成は依然としてOJT中心であり、スキル習得が報酬や処遇に結びつかないため、学ぶインセンティブが弱い点を指摘。

特に生成AIの普及により、既存スキルの陳腐化が早まっていることから、「変化に応じて学び続ける力」がこれまで以上に重要となるとしている。

こうした背景のもと、スキルの可視化や共有、評価の仕組みづくりが急務とされている。

 報告書はその具体策として、個人ごとのスキルや学習履歴を蓄積・活用できる「スキル情報基盤」の整備を提言。

企業・個人・教育機関などが共通の基準でスキルを理解し活用できる「デジタルスキル標準(DSS)」の活用も柱の一つとしており、IPAを中心に新たなプラットフォームの構築も構想されている。

今後は、スキルを起点とした採用や人材育成を可能にする社会的インフラの整備が、デジタル人材の活躍を後押しする鍵となる。

2025年6月 3日 (火)

地域活性と土地政策の展望 令和7年版土地白書の概要

 令和7年版土地白書が閣議決定され、国土交通省のホームページで公表されている。

本白書は土地基本法第11条に基づき、土地に関する動向や政府の施策について国会に報告するもので、地価動向や土地利用の現状が詳細に示されている。

 全国の地価は4年連続で上昇しており、三大都市圏では上昇幅が拡大する一方、地方四市では若干縮小する傾向も見られた。

土地取引件数はほぼ横ばいで、不動産投資市場では海外投資家による投資割合が国内全体の約17%で安定している。

 また、アンケート調査からは、日常的に利用されていない土地の管理が行き届いていないと感じる人が4割を超え、管理のあり方が今後の課題として浮き彫りになった。

こうした背景のもと、国・地方公共団体が連携し、適正な土地利用や管理の確保に向けた施策を講じており、低未利用地や所有者不明土地への対応、住宅政策、災害に強いまちづくりなど幅広い分野で取り組みが進められている。

特に今回の白書では、地域の資源や特色を活かしながら民間投資を呼び込み、交流拠点や宿泊施設、福祉施設等を整備して地域活性化を図る多様な事例が紹介された。

例えば、福井県敦賀市の新幹線開業を契機とした駅前再開発、北海道北広島市の新球場と周辺施設の整備による年間数百億円規模の経済効果などが挙げられている。

これらの事例は、土地活用が単なる開発にとどまらず、地域コミュニティの形成を重視した持続可能な成長に資するものであることを示している。

2025年5月29日 (木)

価格交渉を拒めない時代へ 下請法・振興法が大幅改正

 「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立した。

本改正は、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を定着させ、中小企業が持続的に賃上げを実現できる環境を整備するために行われたもの。

 本改正では、価格決定の際に協議を行わず一方的に決定する行為を新たに禁止対象とした。

これにより、中小受託事業者が正当な価格転嫁を主張できる法的基盤が整備される。

また、手形払いや一部の電子記録債権等、実質的に代金回収が遅れる支払手段が禁止され、現金受領の早期化が図られる。

さらに、発荷主から運送事業者への物品運送委託も新たに規制対象に追加され、物流分野における不公正な取引慣行にも対応する。

加えて、従来は資本金を基準としていた適用範囲に、従業員数による基準も導入され、実態として規模が大きいにも関わらず規制を免れていた企業にも網がかけられるようになった。

執行体制の強化としては、公正取引委員会や中小企業庁に加えて、各事業所管省庁の主務大臣にも指導・助言権限が付与され、報復措置の申告先にも追加されることで、中小企業の申告環境が整備された。

また、用語の見直しにより、「下請」や「親事業者」といった上下関係を示す語が、「中小受託事業者」「委託事業者」へと変更され、取引の対等性を意識した法体系となった。

これらの改正は、令和8年1月1日に全面施行され、一部の規定は公布日から施行される。

2025年5月22日 (木)

企業数・営業収入・法人税が過去最高 国税庁 令和5年度会社標本調査

 国税庁はこのほど、令和5年度分の会社標本調査結果を公表した。

これによると、国内の全法人数は295万6,717社で、前年度から4万7,000社増加(+1.6%)。

これは平成24年度以降、11年連続の増加で過去最多。

利益を計上した法人は115万3,514社(+1.9%)で3年連続の増加、こちらも過去最多を記録。

一方で欠損法人も180万3,203社(+1.5%)と4年連続で増加しており、欠損法人の割合は61.0%と、依然として高水準にある。

 企業の売上に相当する営業収入金額は、1,760兆1,788億円(+2.2%)と3年連続で増加し、過去最高を記録。

企業のもうけを示す所得金額も91兆7,696億円(+14.7%)と4年連続で増加し、こちらも過去最高だった。

業種別では、「機械工業」や「小売業」「建設業」などが所得金額の増加額で上位に並び、特に「食料品製造業」は前年比+30.1%と高い伸びを示した。

これらの動向を反映して、法人税額も大幅に増加した。

令和5年度の法人税額は16兆3,976億円となり、前年度比で2兆1,533億円増(+15.1%)と大きく伸長。

これは企業の増益基調を背景とした納税額の拡大を表している。

また、所得税額控除や外国税額控除などの各種控除にも変化が見られ、外国税額控除は前年比+47.0%と顕著な増加を示した。

企業数・収益・納税額のいずれも高水準に達し企業活動が活発であったことがうかがえる一方、欠損法人の多さが依然として課題であり、日本経済の底力と二極化の側面が浮き彫りとなった。

2025年5月20日 (火)

労働力調査 失業率改善・就業者増 女性と高齢者の就業が拡大

 総務省統計局はこのほど、「労働力調査(基本集計)2024年度(令和6年度)平均」を公表した。

これによると、2024年度の完全失業率は2.5%で、前年度より0.1ポイント改善。

男女別では、男性が2.6%で0.1ポイントの低下、女性は2.4%で前年度と同率だった。

完全失業者数は175万人で、前年度比3万人減少しており、男性は100万人で3万人減、女性は75万人で横ばいだった。

 就業者数は6,793万人で前年度から37万人の増加。

特に女性の増加が顕著で、女性が33万人の増加に対し、男性は4万人の増加にとどまった。

産業別では「医療・福祉」が13万人増、「宿泊業・飲食サービス業」が9万人増加するなど、サービス系産業を中心に雇用の拡大がみられた。

一方で、「製造業」は10万人減、「建設業」と「運輸業・郵便業」もそれぞれ6万人減少した。

 就業率は全体で61.8%となり、前年度比0.4ポイント上昇。

男性が69.7%(+0.2ポイント)、女性が54.4%(+0.7ポイント)と女性の上昇幅が大きい。

15~64歳の労働力に限ると、男性は84.5%、女性は74.4%で、いずれも前年度より上昇。

雇用形態別では、正規の従業員は3,662万人で、前年度比40万人の増加。

うち女性が32万人の増加と大きな伸びを示した。

一方、非正規の従業員は2,132万人で、前年度比2万人の増加となった。

非正規では男性が5万人減少したのに対し、女性は7万人の増加となっており、65歳以上の高齢層の非正規雇用が男女ともに拡大している。

2025年5月16日 (金)

中小企業新事業進出促進補助金 第1回の公募要領がいよいよ公開

 中小企業新事業進出促進補助金の第1回公募要領が公開された。

本補助金は、令和6年度補正予算により新設された制度で、中小企業が既存事業とは異なる新たな市場に向けた高付加価値事業への進出を図る取り組みを支援するもの。

生産性の向上および賃上げの実現を目的とし、意欲ある中小企業の挑戦を後押しする。

 申請期間は令和7年4月22日から同年7月10日18時までとされており、申請に際しては「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定および公表が必要である。

補助対象企業は、国内に本社および補助事業実施場所を有する中小企業や特定の事業組合、または所定の条件を満たすリース会社等で、資本金や従業員数に関して一定の基準を満たす必要がある。

 補助金額は従業員数に応じて750万円から最大9,000万円で、補助率は2分の1。

なお、所定の賃上げ要件を満たす場合には、補助上限額の引上げが認められる特例も設けられている。

 また、補助対象事業は「製品等の新規性」「市場の新規性」「新たな売上高または付加価値の創出」などの要件を満たす必要がある。

さらに、事業計画期間(3~5年)において、付加価値額および賃金水準の年平均成長率に関する目標値を達成することが求められる。

これらの要件を満たさなかった場合には、補助金の返還義務が生じる可能性があるため、計画策定および実行に際しては慎重を期す必要があるだろう。

2025年5月14日 (水)

2025年版中小企業白書が公表 金利上昇の影響を試算したコラムが話題

 中小企業庁はこのほど、2025年度版の中小企業白書が4月25日を取りまとめ、4月25日に公表した。

その中で、政策金利の上昇が中小企業の企業収益にどのような影響を及ぼすかを分析しており、注目を集めている。

白書では、政策金利が段階的に2%まで引き上げられた場合と、据え置かれた場合の2通りのシナリオを比較し、中小企業の経常利益への影響を試算した。

結果、金利上昇ケースでは、2024年度から2027年度の4年間で中小企業の経常利益は累計約4.1%増加すると推計されている。

売上高の拡大による限界利益の増加が主な押し上げ要因となり、限界利益の寄与度は+10.1ポイント。

一方、賃金上昇に伴う人件費負担は−5.3ポイントの押し下げ要因となり、支払利息増加による影響も−0.5ポイント程度生じると見込まれている。

 企業規模別では、大企業の経常利益増加率が約4.4%、中規模企業が約4.0%、小規模企業が約3.7%と推計され、企業規模にかかわらず増益効果が期待できる結果となった。

ただし、これはあくまで「平均値」であり、個別企業では価格転嫁の遅れや資金繰り悪化により、マイナス影響が強く出る場合もあるとされる。

特に借入依存度の高い業種や、為替変動による輸入コスト上昇の影響を受けやすい業種は注意が必要だ。

 中小企業庁は、こうした分析を踏まえ、中小企業に対して「外部環境の変化を好機と捉え、積極的に行動を変えること」を呼びかけている。

«業績回復には個人消費が鍵 人手不足・物価高が重荷に