税理士法人千葉会計

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2025年11月18日 (火)

在職中の学びを支援する新制度 教育訓練休暇給付金が10月1日開始

 10月1日より教育訓練休暇給付金制度がスタートする。

これは、労働者が自発的に教育訓練に専念するため無給の休暇を取得した際、生活を支える給付制度。

従来から離職者に対する基本手当などの支援はあったが、在職中に学びのために休暇を取る仕組みは整っていなかった。

制度創設により、雇用保険の被保険者であれば一定の要件を満たすことで基本手当に相当する額を受給できる。

具体的には、被保険者期間が5年以上あることが前提で、支給日数は90日、120日、150日のいずれか。

支給額は離職時に受け取る基本手当と同水準で、生活費を確保しながら安心して学習に取り組める点が特徴だ。

対象となる教育訓練は、大学や専門学校、厚生労働省が指定する講座を含み、職業に直結する内容に限定される。

また、休暇の取得は労働協約や就業規則に基づき、事業主の承認を得る必要がある。

手続きはハローワークを通じて行われ、原則として30日ごとに受講状況の認定を受ける。

さらに、分割取得も可能だが、一つの訓練は30日以上の期間が求められる。

なお、制度利用によって休暇開始前の被保険者期間が基本手当の受給資格から除外される点には注意が必要だが、倒産や解雇といったやむを得ない理由による離職の場合は特例が設けられている。

今回の制度は、働きながらリスキリングやキャリアチェンジを目指す人々にとって大きな後押しとなるものであり、企業にとっても人材の能力開発を促進する契機となることが期待されている。

2025年11月 6日 (木)

生成AI利活用の民事責任を議論 経産省が研究会を立ち上げ

経済産業省は、AIによる権利侵害や事故発生時の責任をめぐり、民事責任の在り方を検討する研究会を立ち上げた。

AIの普及により利便性が飛躍的に高まる中、万一の事故や権利侵害に際して誰がどのような責任を負うのか不明確では、開発や利用の萎縮効果を招きかねない。

研究会では、不法行為法や製造物責任法をどのようにAI特有の課題に適用するかを中心に議論し、関係者が参照できる準則の策定を目指す。

議論の出発点として示されたのは、AIを業務判断の補助に用いた場合の具体的な想定事例だ。

例えば、法律特化型AIが誤った裁判例を提示した結果、依頼者が損害を被ったケースなど。

こうした事例を通じて、利用者、提供者、開発者のいずれにどのような注意義務や責任が生じるかを整理することが狙いだ。

基本的にAIは補助ツールであり、最終的な判断責任は利用者にあるとする考えが前提だが、例外的に提供者の説明義務違反や設計上の過失が責任を問われる場面も想定される。

また、複数の事業者が関与するバリューチェーンの中で、どこまで責任を負うのかも重要な論点。

基盤モデルの提供者、サービス開発者、利用者それぞれの役割を踏まえ、AIの限界やリスクを適切に説明・共有することが求められる。

経産省は、こうした議論を通じて予測可能性を高め、迅速な事故処理や被害回復を可能にする制度設計につなげたい考えだ。



2025年10月20日 (月)

金融庁 2025年度の行政方針を公表 企業価値担保権の活用を支援

 金融庁はこのほど、2025事務年度の金融行政方針を公表した。

 今回示された新方針では、「金融の力を通じて経済の持続的成長と国民生活の安定を図ること」が柱とされ、中小企業経営や資産家に関わる施策が数多く含まれている。

中小企業に向けては、地域金融機関の役割を強化する「地域金融力強化プラン」の策定が打ち出された。

人口減少や後継者不足、原材料費や人件費の高騰といった課題に直面する中小企業を支えるため、金融機関がM&Aや事業承継、デジタル化支援を推進し、外部プレイヤーとも連携する体制が整備される。

さらに、2026年に導入される「企業価値担保権」を活用した融資や、経営者保証に依存しない資金調達の拡大も進められる。

一方で、資産家や投資家に向けた施策としては「資産運用立国」の推進が目立つ。

企業のガバナンス改革を通じた企業価値の向上や、スタートアップなどへのリスクマネー供給強化により、投資を通じた価値創造の循環を築くことを目指す。

併せて、NISAや確定拠出年金の制度改善、学校や職場での金融教育の拡充などが打ち出されており、幅広い世代に資産形成の機会を広げることとされた。

また、暗号資産やステーブルコインの制度整備、AI活用支援など新しい金融技術に関する政策も示され、資産家にとって投資機会の拡大と利用者保護の両立が図られている。 

2025年10月15日 (水)

金融庁 NISA制度の効果を検証 「長期・積立・分散」の定着を確認

 金融庁の「NISAに関する有識者会議」はこのほど中間とりまとめを公表した。

これは、2024年に抜本的に拡充されたNISA(少額投資非課税制度)の効果を検証し、家計の安定的な資産形成促進という政策目的が実現されているか、その利用実態に基づき検討するもの。

 文書によると、NISA口座の開設数や買付額は大幅に増加し、特に若年層の利用が拡大しており、さらに、日本証券業協会の調査では年収500万円未満の層が利用者の約7割を占め、中間層を中心とする幅広い層に浸透していることが確認された。

また、非売却率や継続保有率が高水準にあることから、長期的な資産形成を志向する姿勢が一定程度根付いていると評価された。

もっとも、制度開始から1年余りであり、効果を断定するのは時期尚早であるとされ、今後も世代や所得階層ごとの利用動向や、利用しない層の理由などを継続的に検証する必要があると整理された。

 制度の改善点については、つみたて投資枠の対象株式指数の選定基準を精緻化することが提示された。

従来の「マーケット全体を広くカバーし、既に市場関係者に浸透している指数」を基本としつつ、セクター分散や透明性・算出継続性の確保を重視する方針が明確化されている。

さらに、地域別指数の単独利用や、株式に比べリスクが低く安定的なキャッシュフローが期待できる資産を対象とする商品の導入など、多様な投資ニーズへの対応も検討課題として提示された。

2025年10月 1日 (水)

最低賃金が過去最大の引上げ 政府は中小企業支援を拡充

 令和7年度の最低賃金改定について、全国の地方最低賃金審議会での答申が出そろい、全国加重平均は過去最大となる66円引上げの1,121円となった。

引上げ率は、中央最低賃金審議会が8月に示した目安の6.0%を上回る6.3%で、中小企業にとって人件費負担の増加は避けられない状況。

こうした動きを受け、政府は「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」に基づき支援策を強化する。

業務改善助成金は、対象範囲が広がり、地域別最低賃金の改定日前に賃金を引き上げる場合も助成対象となる。

助成率は賃金水準に応じて3/4または4/5で、上限は30万~600万円。

また、経済産業省のものづくり補助金については、生産性向上に役立つ設備投資を行った場合の補助率が2/3に引き上げられ、上限は最大4,000万円。

IT導入補助金も補助率が2/3に拡充され、上限は450万円となる。

さらに、省力化投資を後押しする中小企業省力化投資補助金は、上限が750万円から1億円に引き上げられ、補助率も最大2/3に拡大された。

あわせて「優先採択」の仕組みも導入されている。

改定後の最低賃金未満で働く従業員を一定数雇用している事業者や、中央最低賃金審議会が示した目安以上の賃上げを実施する事業者は、各補助金の審査で加点され、採択が優先される。

政府は価格転嫁や取引適正化の徹底とあわせて、生産性向上を後押しする資金支援を強化し、中小企業の経営を幅広く支えていく考えだ。 



2025年9月23日 (火)

財務総研が最新の分析結果を公表 高所得層のシェア変動が明らかに

 財務総合政策研究所は、ディスカッション・ペーパー「所得税データを用いた日本の上位所得シェアの推計:2008~2023年」を公表した。

今回の研究は、申告所得税や民間給与実態統計調査などを用い、日本における高所得層の所得シェアを精緻に推計したもの。

従来の調査では把握が難しかった超高額所得層の動向を明らかにしている。

分析では、2008年以降に拡充された税データを活用し、キャピタルゲインを含めた場合と含めない場合の両面から検証を行っている。

キャピタルゲインを含まない所得については、2013年以降の景気回復期に上位0.01%や0.1%の所得シェアが拡大した一方で、上位1%や10%といった層のシェアは低下していたことが示された。

背景には、経営者報酬などの高額給与の拡大とともに、女性や高齢者の労働参加率の上昇などがあると考えられている。

さらに、キャピタルゲインを含めた分析では、上位0.01%や0.1%のシェアが景気回復期に顕著に上昇した一方、上位5%や10%といったより広い層のシェアは低下傾向にあることが明らかに。

資産市場の変動がごく一部の超富裕層に強く作用している構図が浮かび上がった。

なお、本研究は財務省の公式見解ではないが、税務データを活用した詳細な分析は、所得分布や格差の実態を理解する上で重要な知見を提供するもの。

今後の再分配政策や社会保障制度を検討する上でも、こうした実証的な研究は大きな役割を果たすと期待される。 

2025年9月19日 (金)

デジタル時代の遺言制度に向けて 法制審議会が中間試案を公表

 下法務省の法制審議会民法(遺言関係)部会が、「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」を取りまとめた。

 今回の試案は、デジタル社会の進展や高齢化の加速を背景に、遺言制度をより使いやすくし、遺言者の意思を確実に実現することを目的としている。

従来の自筆証書遺言や公正証書遺言などに加え、PCやスマートフォンを利用した電磁的記録による新たな遺言方式の導入が検討されており、その具体案として三つの方式が提示されている。

 第一の甲案は、遺言を電磁的記録で作成し、本人が全文を朗読して録音・録画する方式。証人を要する案と要さない案があり、後者では本人確認機能を備えたアプリの利用が想定される。

第二の乙案は、遺言を電磁的記録として作成し、公的機関に保管する方式で、申請時に全文を朗読する。第三の丙案は、プリントアウトした書面を公的機関に保管する方式。

乙案・丙案については家庭裁判所の検認を不要とする方向も示されている。

 また、自筆証書遺言に関しては、財産目録について自書を不要とする現行制度を維持し、さらに範囲を広げない方針が示された。一方で、押印要件については不要とする案と、現行維持案の両論が検討対象となっている。

 全体として、中間試案は偽造・変造の防止といった真正性確保を維持しつつ、デジタル技術を踏まえた利用しやすさと柔軟性を高める内容となっている。

2025年9月12日 (金)

令和6年「労働安全衛生調査」メンタル不調 企業規模で格差鮮明

 厚生労働省はこのほど、令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」を公表した。

調査によると、メンタルヘルス不調により1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%で、前年の13.5%からわずかに減少した。

規模別に見ると、1,000人以上の大規模事業所では9割を超えて該当者がいたのに対し、30人未満の小規模事業所では1割未満にとどまっている。

労働者ベースでは、休業者が0.5%、退職者が0.2%で、前年とほぼ横ばいだった。

 事業所のメンタルヘルス対策については、63.2%が取り組んでおり、前年とほぼ同水準で推移した。

50人以上の事業所では9割超が対応している一方、10〜29人規模では55.3%にとどまった。

取組内容としては「ストレスチェックの実施」が最も多く65.3%に上り、次いで「職場環境の評価・改善」が54.7%だった。

ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果を集団単位で分析した割合は75.4%に達し、その分析を活用した割合は76.8%と、前年よりやや改善がみられた。

また、産業保健の取組を行う事業所は89.8%で、前年の87.1%から増加した。

その内容は「健康診断結果に基づく保健指導」が75.1%で最多、次いで「メンタルヘルス対策」が71.3%だった。

労働災害防止に関しては、転倒防止の物理的対策に取り組む事業所が77.7%と大半を占める一方、身体的要因に配慮した対応や体力づくりへの取組は1割程度にとどまった。



2025年9月 5日 (金)

下請法改正、令和8年1月施行へ 価格転嫁と公正取引の実現を目指す

 下請代金支払遅延等防止法および下請中小企業振興法の改正法が成立し、令和8年1月1日に施行される。

改正の背景には、労務費や原材料費、エネルギーコストの急激な上昇を、中小企業が十分に価格転嫁できない状況が続いてきたことがある。

政府は今回の改正を通じて、発注者と受注者が対等な立場で協議を行い、サプライチェーン全体で公正な価格決定を行える環境を整備する狙いだ。

改正の柱は大きく三点。第一に、協議を経ずに一方的に代金を決める行為を禁止し、必要な説明や情報提供を義務づけることで、価格据え置き的な慣行を是正する。

第二に、手形払いが全面的に禁止され、現金化が困難な支払手段も認められなくなる。

これにより中小企業の資金繰りリスクが大幅に軽減される見通しだ。

第三に、製造や販売に不可欠な運送の委託が新たに規制対象に加わり、物流コスト増への対応が制度面からも支えられる。

また、従業員数の基準が見直され、300人規模(役務委託は100人)までの事業者が保護対象となるなど、適用範囲も拡大する。

さらに、法体系の用語も整理され、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」と改められ、法律名も変更される。

こうした一連の改正は、構造的な価格転嫁を定着させ、中小企業が持続的に成長できる環境を築くための重要な一歩と位置づけられている。

2025年9月 1日 (月)

経産省2024年度消費者相談報告書 ネット通販の定期購入トラブルが増加

 経済産業省はこのほど、2024年度(令和6年度)の「消費者相談報告書」を公表した。

同報告書によると、経済産業省消費者相談室が受け付けた消費者相談件数は合計7,020件に上り、前年度比で2.3%減少した。

最も多くの相談が寄せられたのは「特定商取引法関係」で、全体の約7割近くを占める4,746件だった。

このうち「通信販売」に関する相談は1,428件と前年度比16.1%増加し、特にインターネットを利用した「定期購入」に関するトラブルが目立った。

具体的には「初回限定と記載があったのに自動的に定期購入に切り替わっていた」や「特典利用で定期購入契約の申込みになっていた」といった、消費者が意図せず定期購入契約を結んでしまう事例や、解約を巡るトラブルが300件に上るなど、多数報告されている。

 また、「訪問販売」の相談は1,452件で最も件数が多かったが前年度からは5.6%減少した。

しかし、工事や住宅設備、特に冷暖房給湯設備・機器に関する相談が増加しており、大手ガス会社を装った事業者による給湯器交換契約のトラブル事例も具体的に挙げられている。

注目すべきは、「個人情報関係」の相談が23件と前年度比155.6%の大幅な増加を記録した点。

相談のほとんどが個人情報の目的外利用など、管理に関する懸念を示すものだった。

相談者の年代別では、判明している約3割の相談者のうち、50歳代からの相談が最も多く(25.1%)、次いで60歳代(20.4%)、70歳代以上(18.4%)が続いている。 

«経産省 中小M&A市場改革プラン検討 トラブル防止に向けた対策の方向性示す