税理士法人千葉会計

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2026年7月24日 (金)

法務省 第4の遺言方式を創設へ 「保管証書遺言」の新設を提言

 法務省の法制審議会はこのほど「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」を取りまとめた。

これは、デジタル社会の進展に対応し、民法制定以来続いてきた「紙と印鑑」中心の遺言実務を抜本的に見直すもの。

審議会は、この要項の中で、遺言の新たな方式として「保管証書遺言」の新設を提言している。

「保管証書遺言」とは、パソコンやスマートフォン等を用いて作成したデジタルデータを、正式な遺言書として認める制度。

従来の自筆証書遺言では全文の手書きが必須だったが、新方式ではデジタル入力が可能となる。

ただし、真正性を担保するため、手続きは厳格だ。

作成したデータには電子署名等を施した上で、法務局の「遺言書保管官」の面前で、遺言者がその全文を読み上げる「口述」を行わなければならない。

この手続きには、ウェブ会議システム等を用いて、映像と音声により保管官と対面する方法も認められる。

また、「自筆証書遺言」についても大きな変更が加えられる。

全文、日付及び氏名を自書すれば、実印等の押印がなくとも有効な遺言として扱われることとなり、無効トラブルの原因ともなっていた押印要件が廃止される。

さらに、死期が迫っている「死亡危急時遺言」等においては、従来の証人による筆記に代わり、「録音及び録画を同時に行う方法」、すなわちビデオ撮影による遺言が解禁される。

この場合も、ウェブ会議を通じて証人を立ち会わせることが可能となる。

2026年7月16日 (木)

中小企業 約8割が給与引き上げ 55%が人手不足も、前年より2.7%改善

 日本政策金融公庫はこのほど「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を公表した。

これによると、2025年12月時点で正社員の給与水準を前年より引き上げた中小企業の割合は78.4%に達した(前回調査比+3.2ポイント)。

 企業が給与水準を引き上げた主な背景は、「最低賃金の動向」を理由に挙げた割合が30.5%で最も高く、「物価の上昇」が24.8%と続いた。

昨年10月に実施された最低賃金の引き上げ、物価高による実質賃金の目減りを防ぐための対応などに、多くの中小企業が追われている実情が見える。

 また、正社員が「不足」していると回答した企業の割合は55.0%で、依然として過半数の企業が人手不足に悩まされている。ただし、この不足感は前回調査の57.7%から2.7ポイント低下しており、わずかながら改善の兆しも見られた。

業種別に見ると、倉庫業や運送業、情報通信業といった分野で特に「不足」の割合が高くなっており、これらの業界における労働力確保の難しさが際立っている。

一方で、正社員数が前年から「増加」した企業の割合は25.6%で、前回調査から2.0ポイント上昇。

業種別では、人手不足感が強かった情報通信業や運送業、さらに水運業などで正社員が増加した割合が高くなっている。

これらのデータから、深刻な人手不足に直面している業種ほど、賃上げなどの待遇改善を通じて人材の確保に積極的に動き、実際に人員を増やそうと努力している企業の姿が読み取れる。

2026年7月 8日 (水)

令和8年度税制改正 暗号資産課税の見直しが決定

 政府は「貯蓄から投資へ」の流れを一層加速させ、個人が保有する金融資産を国内投資へと振り向けることで「強い経済」の実現を目指している。

こうした政策方針の下、暗号資産についても、従来のような投機的な取引にとどまらず、国民の資産形成を支える金融商品の一つとして位置付け直す動きが進められてきた。

この流れを受け、令和8年度税制改正では、暗号資産取引に係る税制の見直しが行われることになった。

改正の柱の一つが、課税方式と税率の変更。

暗号資産の現物取引、デリバティブ取引、ならびに暗号資産関連ETF(上場投資信託)から生じる所得については、総合課税ではなく、分離課税の対象とされることになった。

税率は一律20%で、内訳は所得税15%、個人住民税5%。

これにより、暗号資産取引は株式等と同水準の税負担となり、投資判断における不確実性の低減が期待される。

あわせて、損失の繰越控除制度が新たに創設される。

暗号資産取引によって生じた損失のうち、その年分の所得から控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、暗号資産に係る所得から控除することが可能になる。

価格変動が大きい暗号資産の特性を踏まえ、長期的な投資行動を後押しする制度設計といえる。

これらの改正は、改正金融商品取引法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行われる暗号資産取引から適用される予定だ。

2026年6月30日 (火)

ものづくり補助金 採択結果が公表 採択638者、採択率は約34%

 中小企業や小規模事業者の革新的な設備投資を支援する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の第21次公募における採択結果が公表された。

これによると、今回の公募では、申請者数1,872者に対し、採択されたのは638者。

全体の採択率は34.1%だった。

内訳は「製品・サービス高付加価値化枠」で615件、「グローバル枠」で23件選出されたほか、米国の追加関税措置により影響を受けた199の事業者が優先採択の対象となった。

近年の採択率の推移を辿ると、第16次公募までは40%から50%台という比較的高い水準を維持していた。

しかし、第17次公募から採択率は30%前後へと急落し、今回までその傾向が続いている。

この大きな転換点となったのが、第17次公募から導入された「口頭審査(オンライン面談)」の存在だ。

従来の審査は、事業者が作成した事業計画書をベースに評価される傾向があったが、口頭審査の導入によって審査のあり方は一変。

経営者自身が、自社の事業計画の革新性や収益性、さらには具体的な実現可能性について、自分の言葉で説明し、審査員の質問に答えなければならなくなった。

ものづくり補助金は、1月30日に第22次公募の締切を迎えるが、この採択結果は4月下旬に公表される見通し。採択率がどのように変化するか注目される。

2026年6月23日 (火)

消費税の輸出免税制度が改正 外国人への不動産仲介が課税対象に

 消費税の輸出免税制度は、原則として「役務の提供を受ける者が非居住者であり、かつその役務が国内で消費されない場合」に適用される。

近年、海外居住者が日本国内の不動産を取得・売却する事例が急増しているが、それに伴って、不動産仲介などの不動産関連サービスが非居住者向けに提供されるケースも増加している。

これらの取引では、役務の提供先は非居住者であるものの、実際には国内に所在する不動産を対象とした取引であり、役務の内容や効果が国内で完結していると見ができる。

 こうした状況の中、居住者が国内不動産の売買を行う場合には仲介手数料等に消費税が課される一方で、非居住者であるという理由だけで輸出免税となる取扱いについては、税負担の公平性の観点から課題がある指摘されてきた。

そこで今回、非居住者が国内不動産を売買する場合の仲介手数料等について、消費税の課税対象となるよう見直される。

 改正案では、非居住者に対して提供する「国内に所在する不動産に関する役務提供」について、輸出免税の対象から除外することとされた。

具体的には、非居住者が日本国内の不動産を売買等する際の仲介手数料などが代表例として挙げられる。

これらの役務提供は、従来は弁護士による法律相談などと同様、非居住者向けであることを理由に輸出免税の対象とされていたが、改正後は消費税の課税対象となる。

2026年6月19日 (金)

貸付用不動産の評価方法が見直し 相続前5年以内は時価ベースで評価

令和8年度税制改正では、貸付不動産の評価方法が大きく見直される。

従来の財産評価基本通達による評価方法では、マンションなどの貸付用不動産の相続税評価額が、実際の市場価格よりも低くなる傾向がある。

市場価格は主にその物件が生み出す「収益性」によって決まるため、賃貸割合が高いほど高額になるが、税務上の評価は「借家人がいて所有者の自由が制限されている」という理由から、賃貸割合が高いほど評価額が下がる。

このような価格差を利用して相続税額を大幅に圧縮するスキームが広く利用されてきた。

そこで今回の改正では、相続や贈与の前5年以内に取得した不動産については、財産評価基本通達による相続税評価額ではなく、「通常の取引価額」で評価されることになる。

「通常の取引価額」とは、①出資者等の求めに応じて事業者等が示した適正な処分価格・買取価格等、②事業者等が把握している適正な売買実例価額、③定期報告書等に記載された不動産の価格等を参酌して求めた金額――の100分の80に相当する金額。

今回の改正では「不動産小口化商品」の評価も見直しの対象とされた。

ただし、貸付用不動産の時価評価が「相続・贈与前5年以内」とされたのに対し、不動産小口化商品は原則として取得時期にかかわらず通常の取引価額によって評価される。

本改正は、令和9年1月1日以後に相続等により取得する財産の評価に適用される。

2026年6月17日 (水)

所得税追徴税額1,431億円で過去最高 富裕層1件あたりの追徴額は855万円

 国税庁はこのほど「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。

これによると、所得税の調査等による追徴税額の総額は1,431億円と過去最高を記録した。

実地調査と簡易な接触を合わせた所得税の調査件数は、前事務年度の60万5千件から大幅に増加、73万6千件に達している。

そのうち申告漏れ等の非違があった件数は36万9千件で、実地調査1件当たりの追徴税額は前年の224万円を上回る241万円だった。

個人事業者の消費税調査も、簡易な接触を幅広く活用したことで調査件数が前年比約1.5倍の18万5千件に急増し、追徴税額は421億円に上っている。

近年は資産運用の多様化・国際化が進む富裕層への対応が強化されており、富裕層に対する調査1件当たりの所得税の追徴税額は855万円と、実地調査全体の平均である299万円の約2.9倍に達した。

海外投資等を行う富裕層に限定すると、1件当たりの追徴税額は1,595万円と全体の5.3倍に及び、申告漏れ所得金額の総額は837億円、追徴税額の総額は207億円となっている。

また、暗号資産等取引への調査1件当たりの追徴税額は745万円で、一般平均の約2.5倍だった。

公平な納税を損なう無申告者への調査も厳格に行われており、所得税無申告者に対する追徴税額の総額は252億円、1件当たりの追徴税額は524万円と共に過去最高を更新している。

消費税無申告者も、1件当たりの追徴税額は296万円と過去最高となった。

2026年6月12日 (金)

0.25%利上げで年平均64万負担円増 帝国DB「企業影響度調査」で試算

 帝国データバンクはこのほど「日銀の追加利上げが企業に与える影響度調査」の結果を公表した。

この調査は、2024年11月から2025年11月までに決算を迎えた全国約10万社の財務データをもとに、借入金利の上昇が支払利息や経常利益に及ぼす影響を分析したもの。

 調査結果によると、2024年度の企業の平均借入金利は1.20%となり、4年ぶりに1%台へ到達した。

上昇幅は2006年度の調査開始以降で最大で、「金利ある世界」への転換が着実に進んでいる。

 また、借入金利が0.25%上昇(0.5%→0.75%)した場合、1社あたりの年間支払利息負担は平均で64万円増加、経常利益を2.0%押し下げ、これにより対象企業の約1700社(1.6%)が新たに赤字へ転落する可能性があることが試算された。

政策金利が1.00%に達した場合は、赤字転落企業は3.3%まで拡大する見通しだ。

 業種別に見ると、不動産業が経常利益を5.1%押し下げられるなど最も大きな影響を受ける一方、建設業は1.3%減にとどまり、耐性に差が見られる。

前回調査と比較すると、赤字転落企業の割合や経常利益の下押し効果は低下しており、利上げによる企業への影響度は減少傾向にある。

具体的には、0.25%の利上げで赤字転落する企業の割合は前回調査から0.20ポイント低下した。

これは、コスト高を背景とした価格転嫁が進んだことで、企業の収益力が改善しつつあることが背景にある。

2026年6月10日 (水)

令和8年度税制改正大綱が公表 貸付用不動産評価の「歪み」を正す

 年末の恒例行事となっている税制改正大綱が今年も無事に策定された。

今回の改正は、格差の固定化を防止し、全ての人に挑戦の機会がある社会を実現する観点から「税負担の公平性」の確保が強く打ち出されている。

特に資産課税の分野では、一部の富裕層を中心に行われてきた、市場価格と評価額の「乖離」を利用した節税策が見直される。

 これまで、一棟マンションなどの貸付用不動産については、収益性が高く高値で取引される市場価格と、路線価などに基づく相続税評価額との間に極めて大きな「乖離」が生じていた。

このような評価の歪みは、不動産の本来の価値ではなく「他人に貸していることで所有者の自由が制限される」という税制上の仕組みを逆手に取ったものであり、租税負担の公平性を著しく損なうものとして問題視されてきた。

今回の改正により、相続や贈与の前5年以内に対価を伴って取得または新築された一定の貸付用不動産については、従来の評価方法ではなく、原則として通常の取引価額(時価)によって評価されることになる。

 ただし、実務上の配慮として、課税上の弊害がない限りは、取得価額を基に地価変動などを考慮して計算した金額の100分の80(80%)に相当する金額で評価できる仕組みも導入される。

これにより、これまでは国税庁が個別に再評価を行っていた不透明な運用(評価通達6項)に代わり、明確な基準が設けられることで、納税者にとっての予見可能性が確保されることになる。

2026年6月 5日 (金)

稼ぐ力の承継を支える次世代税制へ 事業承継税制の在り方に関する中間報告

 中小企業庁はこのほど「中小企業の親族内承継と事業承継税制の在り方に関する中間報告書」を取りまとめ、公表した。

本報告書は、地域の活力を維持するために不可欠な事業承継、特に伝統的に選択されてきた親族内承継の円滑化を目指して作成されたもの。

今後の事業承継税制の在り方について、社会経済情勢の変化に応じた大胆な提言を行っている。

 具体的な提言の柱の一つは、猶予対象となる株式数の上限撤廃。

迅速な意思決定を支え経営を安定させるため、企業の状況に応じた柔軟な株式承継を可能にすべきであり、「二分の一といった制度上の上限を設けることは必ずしも妥当ではない」としている。

さらに画期的な提言として、納税猶予制度そのものの抜本的な見直しが挙げられた。

現在の猶予期間が長期に及ぶ心理的負担や、成長に伴う納税負担増を避けるための不自然な株価圧縮といった企業行動の歪みを是正するため、十年間程度の事業継続による納税免除といった新たな仕組みの導入が検討の方向性として示された。

また、雇用確保要件についても、人手不足や物価高といった現状を踏まえ、単なる人数の維持だけでなく賃上げや生産性向上、デジタル化への取り組みを評価する仕組みへの転換が提案されている。

加えて、国内経済への波及効果が期待できる場合には、これまで対象外だった海外子会社の株式も税制の対象に含めることを検討すべきだとしている。

«国税庁 相続税の申告状況を公表 課税割合が10.4%に上昇