2021年11月 4日 (木)

「家族信託」が浸透してきた!

 家族信託について関心を持たれている方が増えていると実感している。私は平成25年から取り組んで来たが、当時は「何それ?」という方が、ほとんどだった。最近は私が話す前に「自分の認知症が心配なので、家族信託を組みたいのですが、どのように手続きしたら良いですか?」と相談者から聞かれる機会が増えた。それだけ家族信託の知識が浸透してきているということだと思う。


   私が家族信託に取り組んだキッカケは、顧問先の会長から「私の子供に障害を持っている子がいるので、将来が心配だ。その子が私に万が一のことがあっても、食べていけるように、アパート一棟の管理をその子の為に誰かに頼めないか?」という相談だった。会長はかなりの資産家だったので、「特定障害者に対する贈与税の非課税」を活用しながら会長の希望にも添えるようにできたらと考えた。この場合の要件は、受託者を信託銀行として、金銭、有価証券、その他の財産を信託した時に受益者が、特定障害者の場合にこの制度が使える。障害の程度で、その非課税枠は6000万円と3000万円がある。この会長のお子さんの場合は障害の程度の大きい特別障害者だったので、6000万円までは非課税枠を使えることになる。しかも会長の相続財産からその6000万円がなくなるので、会長の相続対策にもなり一挙両得と考えたのだ。早速受託者となるべき信託銀行を当たってみたが、いずれも不動産の管理が大変なので、不動産の信託は受けないところばかりだった。

 やはりこのようなアパートの信託は信託銀行に頼むのではなく、信頼できる家族の誰かを受託者にする家族信託の活用(特定障害者の非課税は使えないが)が適切だ。すなわち会長を委託者、信用できる親族を受託者、障害を持つ子を受益者としておけば良い。ただしこの場合、贈与税の非課税は使えないので、当初の受益者は会長にしておかなければならない。そうしないと大変な贈与税がお子さんにかかることになるからだ。亡くなった時に、次の受益者を会長からお子さんに指定しておけば、そのままアパートはそのお子さんに相続されることになる。相続税の節税にはならないが、遺言を書いたのと同じことになり、遺言の手間が省ける。しかも受託者は、会長死後も、アパートを管理し続け、その収益は受益者であるお子さんに渡すようになるので、お子さんの生活も安心ということになる。

 しかし、そうは言うものの家族信託を組成する場合に、受託者を誰にするかが大きな問題で、そう簡単には決められない。あるいは、信頼してまかせきれる親族がいない方も多いのではないかと思う。次回は信託契約の一番の要となる「受託者」について検討していきたいと考えている。今年も残すところ二か月になりました。寒さも増してきましたので、健康管理に気を付けて年末乗り切りましょう。

2021年10月 5日 (火)

いよいよ今月(令和3年10月1日)から「適格請求書発行事業者」の登録申請受付が始まりました!

   すでに当社から消費税課税事業者の皆さんには案内が届いていることと思いますが、令和3年10月1日より「適格請求書発行事業者」の登録申請の受付が開始されました。当社では皆様の事務処理負担を軽減するために、希望者の方には代行して登録手続きを進めることにしました。

   インボイス制度の導入は、令和5年10月1日からになりますが、令和5年3月31日までの登録申請が必要です。登録することで登録番号が通知され、この登録番号、事業者名は国税庁のホームページで公表されます。令和5年10月1日からは、この登録を受けた事業者からの仕入れ以外は税額控除を受けることができなくなります。つまり登録を受けていない事業者から仕入れた場合は、控除を受けられない分余計に消費税を払うことになります。


 そこで懸念されるのが、登録をしていない事業者が、消費税分の値引きが要求されたり、取り引きをやめられたりする恐れがあるということです。アンケート調査ではこれまで通り取引を行うと答えた事業者は半分にも満たなかったようです。例えば、企業が自社の営業マンに対し免税事業者のタクシーには乗るなとお触れを出したりすることなども考えらえます。また農産物販売の農家などは、9割が免税農家ですので、市場から排除されることにならないか心配です。


 今回登録申請できるのは、基本的に消費税課税事業者です。もし免税事業者が登録するためには、課税事業者を選択した上で登録申請を行うかどうか検討が必要になります。そのため、当社では今回は免税事業者の方には、一律のご案内はしないことにしました。令和5年3月までじっくり検討しながら、どうするかを決めていただきたいと考えたからです。


 さて、免税事業者はインボイスを発行できないとすると、次のような場合はどうなるのだろうかと疑問が湧いてきます。例えば、不動産業者が消費者から不動産を購入した場合は?中古自動車販売業が消費者から車を購入した場合は?リサイクルショップは?いずれも消費者はインボイスを発行できないから、消費税仕入税額控除はできないということになってしまうのだろうか?ご安心ください。これらの場合は帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。ただし、不動産業者が一般の方から建物を購入して転売した場合などは、建物は「棚卸資産」に該当するから仕入れ税額控除は認められますが、自己所有物件として賃貸を目的に建物を取得した場合には「固定資産」に該当するから特例適用対象とはならず、仕入税額控除が受けられませんので注意が必要です。


 いずれにしましても、このインボイス制度が始まりますと、経理事務も煩雑になり、社員教育も必要になります。今のうちからこのインボイス制度を勉強し、準備していくことが重要です。当社ではその支援もさせていただこうと思います。


2021年9月 2日 (木)

「年商の壁」を超えるお手伝いを始めました!

   日本には法人188万社、個人事業主198万人・・合わせて約386万の事業者がいると言われています。私の記憶では消費税が導入された平成元年には法人、個人合わせて600万事業者が存在していたと記憶しています。その後日本の人口減少と共に、事業者数も減少してきており、さらに令和7年には団塊の世代が75歳になり、その中の経営者も退任時期を迎え、更に減少傾向が進んでいます。この減少傾向を食い止めるためにも、上手に事業承継をして事業者数をできるだけ減らさないように頑張ってほしいと思います。

  日本の事業者の99.7%は中小企業と言われており、その中小企業が日本経済を支えてきたのです。すなわち日本の事業者の95%は年商5億円以下であり、そのうち年商1億円以下の事業者は80%も占めています。日本のほとんどの事業者が年商5億円以下で頑張ってきたと言えるのです。そこで、社歴10年以上で年商5億円以上ある会社は「偉い!」と私は褒めたい。何故なら並大抵の努力では達せられないからです。そのように話すと、簡単に5億円の売り上げを短期間で達成したという自信満々の社長もいますが、その次の年商10億円の壁は、なかなか超えられず苦労しています。すなわち年商5億円、10億円は年商の壁と言われており、年商10億を超えている事業者は、わずか15万社(全体の3.8%)に過ぎません。年商5億円までは社長一人の営業力でいける限界の数字と言えるのではないでしょうか。その壁を超えるには、もはや社長一人の力ではどうしようもありません。

   ずばり「組織力」「総務・経理部門などの間接部門」の重視が必要になってきます。その壁を何とか破りたいという社長に何度かコンサルを頼まれましたが、我々会計事務所の業務では正直難しかったのです。これは私の事務所だけでなく、日本全国どこの会計事務所でも難しいと思います。

 そんな時、現場改善を通して「組織力」の強化をはかるという専門のコンサルを実践し、数多くの実績を残してきたコンサルタントを思いだしました。しかも彼は私の学生時代からの親友で気心も知れています。早速、昨年1社、今年になってからさらにもう1社の実践を行いました。幹部社員も巻き込んでのワークショップ形式で行い、幹部一人一人に考えてもらい、気づいてもらうという形なので、ワークショップが終わってからの一人一人の発表会では、大きな成長を実感すると共に経営者からはとても感謝されました。専門のコンサルを紹介して丸投げするのでなく、当社からも1名アシスタントとして参加し、最後までアシストさせていただいたのが成功の要因だったと思います。

 今後は、同じように年商の壁を破りたいと考えている会社にこのサービスを提供して支援していければと考えています。自社の組織能力をアップし、年商の壁をぶち破りたい社長がおられましたら、ご気軽に声掛け下さい。必ず年商の壁を我々のアシストで超えていただきます。応援しています。

2021年8月 3日 (火)

『M&A』って何?

 最近「M&A」という言葉をよく聞くけど・・具体的にはどのようなことなのだろうか?

 これについては、今回、3人共著で発行した「あなたの事業承継」の第4章で齋藤氏が自らの経験を踏まえてわかりやすく書いていますので、是非参考にしていただければと思います。

 「M&A」と聞くと、「乗っ取り」などのイメージで悪い方向に考える方も多いようです。しかし、齋藤氏は、「会社と会社がお見合いをして、お互い気に入ったら一緒になる」というお見合い結婚と捉えた方が良いと自分の体験を通して話しています。後継者選定に問題をかかえる中小企業が、継続的・永続的に事業運営をできるようにするための前向きな位置づけが我々の取り組んでいる「M&A」です。

 齋藤氏はその著書の中で、この前向きな「M&A」についてこう述べています。「バリバリのオーナー社長が、代表権を返上することになり、買収側企業から新社長が来るのが一般的です。一抹の寂しさが伴うことは、覚悟しなければなりません。これに対して、世間はどうとらえるでしょうか。『順調だったのになぜ?』と思うでしょう。そして、『もう少しの期間社長を続けられたのでは?』とも、言われるかも知れません。そんな言葉を投げかけてくれたならば、ある意味で勲章をいただいたようなものです。そんな時には、『ありがとうございます。私も会社も元気なうちに、新オーナーが当社経営を継続し発展できる可能性に託しました。従業員も取引先も安心です』と答えることができるとしたら、『この承継もあり』ではないでしょうか。従業員は、『社長はまだがんばれるに何故だろう?でも我々従業員としては、これで将来も安心して働ける会社になるか?』と感じるのではないでしょうか。得意先からは『今まで以上に長い付き合いができる会社になった。今後も応援しよう』と仕入先からは『今後も安定した経営に期待できるので、精一杯の協力を惜しまない』との評価をいただくことが十分に予想されます。」と。

 中小企業の「M&A」は事業承継戦略の一つです。後継者がいない場合には、「休廃業・解散」という方法も当然考えられます。その場合、一緒に働いてきた社員は他の働き口を探さなければなりません。若い社員はまだしも、年配の社員は家族を抱えながら路頭に迷うことにもなりかねません。仕入先、得意先も困るでしょう。このようなことにならないためにも、早めに事業承継戦略の一つに「M&A」も選択肢に入れながら早めに取り組みましょう。


 中小企業の社長さん・・応援しています。一緒に頑張りましょう。

持ち株会社について

   最近、事業承継対策で持株会社の設立を相談されるケースが増えてきた。

   以前より、メガバンクを中心とした金融機関は持株会社の設立提案をかなり積極的に行っている。過去、提案を受けた会社も多いと思う。金融機関が提案する内容はこうだ。

   まず後継者が出資して新会社を作る。次にこの新会社が、先代経営者から従来の会社の株式を時価で買い取る。その際に問題となるのが買い取り資金だ。持株会社まで作って対策しようというのだから当然株価は高い。その際に買い取り資金が、億単位になることは珍しくない。そこで、その買い取り資金は全額その金融機関が融資をしてくれるというスキームだ。株価が上昇し続けている会社にとっては、効果も高い(新会社は後継者の会社なので、どんなに株価が上昇しても先代の相続税の心配がなくなる。)が、設立時のコストがかかるのが欠点だ。

   まず先代が新会社に株式を売却するときに税金が約20%かかる。税率は低そうだが、元の金額が大きいのでかなりの税額になる。しかも新会社は、株式購入資金を借り入れるが、とても10年以上の期間では借りられない。そうなると毎年の返済額は大きくなり、資金繰りが圧迫され、財務内容が悪化していく。また社長が高齢な場合、株式売却による多額の現金は使い切れず、相続対策でしたはずなのに、株式が現金に変わっただけということにもなりかねない。

 そこで私は、今回出版した本の中でも触れたが、コストのかからない持株会社の提案をしたい。それは「株式移転」と言われる方法で、従来会社の株主が新会社に、現在所有している株式を現物出資する方法である。従来会社の株主がそのまま新会社の株主になり、従来会社を子会社として間接所有する方法だ。株主を変えないで対策になるのかと疑問を呈する人もいるが、まず新会社を作ることで、株価評価をする際に含み益に対する法人税相当額分が控除されるので株価は下がる場合が多い。しかも先代が新会社の株主のままなので、後継者の見守りをしながら経営の引継ぎもできる。もし子会社が従来から不動産を所有していればそれを持株会社に時価売却するのも一つの方法である。(この場合の不動産の売却益に対しては、グループ法人税制が適用されるために従来会社には課税は生じない。)

 3年経過したら(3年後、持株会社の不動産の評価は取得価格でなく、相続税評価額になる。)この段階で株価評価は下がる。さらにタイミングが合えばその時点で、社長は退職金を取り、代表を下りてはいかがだろうか。更に株価評価が下がることになる。ある会社では株評価が半分以下になってしまったケースもある。その段階で後継者に持ち株会社の株式を譲渡、贈与すれば、事業承継がうまくいき万事めでたしということだ。
 

 株価評価を引き下げながらの事業承継対策の一つに是非「持株会社」の活用をお勧めしたい。

 

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