2012年5月 7日 (月)

あの震災から1年経過・・各社の業績と今後の方向性

あの震災から一年が経過し、関与先である地元の企業も続々と決算を迎え始めた。

震災の傷跡が深く、復活にはまだまだ時間を要する企業もあれば、復興の特需的なものもあり、好決算を迎えている業種もある。特に建設関連はかなり業績が上がっている。

しかし、今回好業績の企業であっても、バブル後の厳しい時期を苦しんできた経験から手放しで喜んでいる経営者はいない。

逆に、復興後の会社のあり方を見つめ、この業績の良い時に社内体制を固めて、来るべき時代に備えようと必死だ。

それは最近当社の5カ年計画作成教室の「将軍の日」への参加の多さからも理解できる。以前は、経営計画の重要性を説明し(失礼ながら、首に縄を付けるくらいの気持ちで)参加していただいたのに、最近は自主的に参加され、真剣に経営計画に取り組んでいる経営者の方たちを見ていると、その思いを強く感じるのである。

身近に迫った決算対策では、少しでも税金等の社外流失を抑え、会社内部に資金の留保を計りたいと考えるのは経営者として当然のことだ。

あるオペレーティングリースの営業の方が「今までは月に一度しか宮城県に来なかったが、最近では毎週来ている。」と話していた。それだけ課税の繰り延べの引き合いが多い証拠だろう。

課税の繰り延べには、福利厚生をかねて活用される「生命保険」がある。保障よりも財務の機能を優先すると、年払い時に全額損金計上ができ解約時に戻りの高いものほど使い勝手が良い。しかも、早い時期に解約返戻率が上がるものが好ましい。

そうして保険の種類をみると、文句なしに、がん保険が一番そのニーズに合っていたが、今月の27日に国税庁から通達がだされ、4月27日以後の契約は半分しか損金に計上できなくなった。残念ながら今後の契約は、他の保険同様の税の繰り延べ効果になる。

これからの保険契約の仕方は、本来の保障と税の繰り延べ効果とのバランスを取りながら、役員報酬や設備投資などを踏まえた経営計画を立てながらの効率の良い資金の内部留保作戦がますます重要になると思う。

さて今年は団塊の世代が一斉に65歳を迎えるが、この世代には当然経営者も多いため、これからの10年間は経営承継の正念場を迎える。

中には、今まで業績が悪くて退職したくてもできず我慢してきたが、この機会に退職して後継者に経営を譲るという動きも多くなってきたように思う。業績が良い時、あるいは上がりつつある時は、経営承継の良い機会でもある。

是非この時期に「役員退職」を検討されてはいかがだろうか。役員退職に伴い支給される「役員退職金」は、過大退職金とならない限り全額損金計上が認められ、しかもその退職金を受け取る役員個人の所得税も低いため、他の報酬より手取り額は大きくなるからだ。そう言うと「退職金を出したいけれど、会社にそんなに資金がないよ。」という声が聞こえてきました。

次回は「役員退職金」の上手な出し方、活用の仕方について解説します。あきらめず、考えれば必ず道は開けます。

2012年4月30日(月)  著 者  千葉 和彦

千葉経営企画㈱、千葉和彦税理士事務所メインHP

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2012年3月31日 (土)

いよいよ「2012年問題」の幕開けです

 日本の企業の存続を左右する2012年問題がいよいよ幕開けです。

 2012年問題とは、団塊の世代が65歳を迎える年で、日本経済にとっての特別な年を意味します。

 経営に及ぼす問題に焦点を絞れば65歳といえば経営者も引退の時期にさしかかっているため今後はこれまで以上に中小企業の後継者難が加速するという問題のことです。

 確かにすでに後継者が決まっている会社は、まだまだ少なく、昨年12月の帝国データバンクの調査では、国内企業の2/3にあたる65.9%が後継者不在という結果になっています。

 売上規模10億円未満の企業に至っては、約7割が後継者不在という調査結果になっています。(無床診療所の後継者不在率は9割を越えています。)

 企業が存続、発展するためには、円滑な事業承継が必要なことは経営者なら誰でも知っていることです。

 しかし、毎日の目の前の業務に追われているうちに、気がついたら60歳目前になっていたという感じでしょうか。社長の全国平均年齢も59歳7ヶ月と30年連続の上昇になっています。

 企業の出口には、下記の四つの選択肢しかないことを、今こそ目を背けずに直視し、対策を講じなければなりません。

 ①上場する。(ここ数年20社くらいしか上場できず、一般の中小企業では、まず現実的に無理です。)

 ②後継者への承継をする。(親族への承継と役員や社員への承継が、考えられます。)

 ③廃業・清算をする。(社員の全員解雇や設備・在庫の廃棄などもっとも悪いケースです。)

 ④第三者への承継、いわゆるM&Aと言われるものをする。(企業の存続を可能にし、創業者利潤も得られ、社員の継続雇用もできます。)

 結果、突き詰めていくと中小企業が存続するために選択する道は②か④に限られることになります。

 後継者育成も10年間必要ですし、M&Aも早めに情報収集に着手しなければなりません。経営者の最も重要な仕事は後継者作りと言われています。

 経営者は自社の存続・発展という命題をしっかり見つめ一日も早く着手しましょう。(着手すべき目安の年齢は55歳です。)

 私も円滑な事業承継のためのお手伝いでしたら、いくらでもさせていただく覚悟ですので気軽にご相談ください。

 真の経営者になるための第一条件は後継者育成です。応援しています。

 2012年3月31日     著 者  千葉 和彦

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2012年2月25日 (土)

同族株主以外への自社株の譲渡・贈与は額面金額で大丈夫か?

 自社株の件では、頭を痛めている社長が多い。創業以来、人の二倍も三倍も休みもなく、無我夢中で働いてきたら、いつの間にか一株1万円の株が、10万円になっていたというケースがほとんどだ。

その会社の資本金1000万円でその全部を社長一人で所有していたとするなら、何とその自社株の評価は一億円にも膨らんでいることになる。その絵に描いた餅のような数字が、社長所有の預貯金、不動産に合算されて、相続税がかかってくるのだから、後継者をはじめ残された相続人はたまったものではない。

「この国は中小企業を税金で潰そうとしているのか?」と良く聞かれるが、なんとも答えようがないのが現実だ。

 平成7年に、ある有名な秤のメーカーのオーナー社長が1株100円(額面50円)で63万株を取引先のオーストラリア人に、総額6300万円で売却した。課税庁は、その譲渡人が平成6年に金融機関4行に対して、同社株式を一株につき、約800円で売却している事実を踏まえ、その株式の時価は794円であるとし、平成12年、そのオーストラリア人に対し、3億円を超える贈与税の決定処分を行った。

すなわち相続税法7条の「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を譲り受けた場合」に該当するものと認定し、課税を行ったものだ。

このオーストラリア人(以後原告という)は、この処分を不服として、東京国税局長に対し異議申し立てをしたところ棄却された。さらに原告はそのことを不服として国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、こちらからも棄却されたため、東京地方裁判所への訴訟に至った。

なお、課税庁が上告しなかったため、この裁判は一審確定に終わっている。

 所得税法の通達では、個人間で売買する場合の評価について次のように定めている。

上場株式以外の場合は、次の順番で評価すべきというものだ。①売買実例のあるもの・・最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額。 ②発行法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人等の価額があるもの(私見では、通常そのような法人はありえないと考える。)。 ③上記①②に該当しない場合・・純資産価額等を参酌して通常取引される価額。

課税庁は①の売買実例があるとして今回の取引価額である時価は100円ではなく794円が正しいと主張している。しかし、金融機関は純然たる第三者ということができず(融資等の取引の拡大を期待している)①には該当しないことになる。

そうなると、「相続税の財産評価基本通達188」の取り扱いから「同族株主以外の株主等が取得した株式」については配当還元方式によって評価することになる。

すなわち、中小同族企業において、同族以外の株主には配当を受領する以外に直接の経済的利益を享受することが ないという実態を考慮したものである。つまり配当10%なら額面金額ということになる。

 平成17年10月12日判決は、原告の全面勝訴に終わることになった。

このことで、同族株主以外の方に贈与・売買するときは、自信を持って、配当還元方式で堂々と移動させることができることを根拠づけたものと考える。自社株対策に是非活用したいものである。早い時期からの取り組みに少しでもお役にたてればと思います。

2012年2月22日(水)     千葉 和彦

 

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